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2015年7月1日水曜日

Bicycle Photo magazine vol.2

6月29日に玄光社から出たムック本、Bicycle Photo magazine vol.2です。

「自転車とカメラと旅にでる」という特集の中の「熊本・阿蘇 ロードバイク&フォトトリップ」いう写真家・鹿野貴司氏の自転車旅行記にちょっと出ています。
詳しくはこちらで。

2015年3月27日金曜日

ビリケン商会のガラモン(ガラダマモンスター)をつくってみた

ソフビキットのガラモンを組み立てて彩色した。

キットをストレートに組み上げて、タミヤのピンクサフを吹いたところ。実はこの前段で赤い成型色に直に手足の白を筆塗りしたんだが、アクリルの隠蔽力の低さに辟易し、一旦全部流してサーフェイサーを吹くことにした。
これは、ビリケン商会のリアルモデルキットシリーズ・ガラモンで、いわゆるソフトビニール製の未組立キットである。
湯口を切って瞬着や間着(ねじ込み)すれば、あっという間に素組みができる。
赤い成型色のままではよくわからない造形の妙も、こうやってピンクサフを吹けば一目瞭然だ。
原型製作は、ビリケン商会のソフビキットの多くを手がけているハマハヤオ氏。
ハマ氏の造形は、実物を忠実に再現しているのはもちろん、ソフビとしてリリースされることを想定した各部の味つけにあると思う。どこか丸みがあって、怪獣の荒々しい肌を表現したそれまでのガレージキットなどと一線を画していた。

ピンクサフの上から、ラッカーのタミヤスプレーを吹いた。赤はシャインレッドにブライトオレンジの重ね塗り、白はつや消しホワイト。目と唇、腹部のピンクはピンクサフの上からアクリルのつや消し白を軽く筆塗りしただけ。
こうして大まかに塗り分けるだけでもガラモンらしさが充分にあるのが、造形の素晴らしさをあらわしている。

アクリルのつや消しレッドとオレンジに黒を加えて混色したものをトゲ部分に筆で塗って、奥まったところを軽くウォッシングした。手指や脚の節の間に同じくつや消し黒を足して、それを伸ばすようにウェザリングしている。これで一気に生物っぽくなる。

顔などに墨を足して、目玉を書き入れた。
プリンタで出力したコピー用紙を切り抜き、胸のマークとして仮に貼りつけた。このマークはIP上に落ちていたもので、同好の士の熱意に感謝。

この背中のトゲこそがガラモンのガラモンたる部分のひとつ。それぞれの形状、厚みの確かさはもちろん、これによってかたちづくられるフォルムやボリュームが素晴らしい。

目も描き入れた。ガラモンの瞳孔はもっとビビッドな赤なのだが、黒に近過ぎたために瞳孔や瞳の輪郭との差が出ていない。
とはいえ、顔の調子やトゲの陰影など、けっこういい感じかなあと。

上と同じものなのだが、この画像の顔の調子はかなり気に入っていた。しかし、逆襲版にしようと決めたので、鼻などにもっと墨を入れなきゃいかん。
このガラモン、基本色はラッカーで、上に塗ってるのはアクリル。アクリルで塗ったらラッカーのつや消しクリアを被せて、その上にアクリルって繰り返し。そうすることで、下地の色を侵すことなく塗り重ねができるのだ。筆塗りで多色を交えようと思えば、アクリルでそれぞれ塗って、中間色を間に入れ、それ同士をブランディングするってことを行う。こういう表現にはエアブラシのボカシが有効だとされているが、ずっと前から筆塗りでやっているので。

モノクロにして、放映時の明暗の調子とどう違うかをチェックする。

腹部にフラットホワイトを吹いて逆襲版ぽくした。
調子を整えているうちに、顔の赤が強くなってしまった。鼻面や口の周りはもっと黒いのだが、やり過ぎるとコントのドロボーの様になってしまうので悩みどころ。

赤くなってしまった顔にオレンジを足した。同じく唇にもオレンジを被せた。

顔の明暗はこれでいいような気がするが、それと比してトゲ部分が明かる過ぎるなあ。
ガラモンの色彩にこれだ!ってものはないということは下に書くが…
モノクロで製作された放映されたウルトラQ の本編を見てわかることは、2話ともに顔面の方がトゲ部分より明度が高いということ。あまたあるガレージキットの完成品をWeb上で目にすると、これがそうでないものがけっこう含まれている。いや、ガラモンの色に正解はないのだから作者の解釈次第でどっちでもいいのだが。
そんなわけで、上のものはアウトなのだ。
アクリル溶剤をつけた綿棒で拭きとって、下地の赤を少し出す。もう少しピンクを足すべきか。
ガラモンの色彩については、元がモノクロフィルムで製作されたテレビ映画であり、当時のカラースチールがほとんど残されていないため、これが決定版というものがない。
ガラモンは、ウルトラQ本編の放映13話と16話(製作順だと16、26番)に登場しているが、その2話で色が変更されていることがわかっている。13話のガラダマ時の色彩を知る手立ては着ぐるみ製作途中に製作者の高山良策氏と写った1枚しかなく、16話のガラモンの逆襲の時にも、その東京タワーのセットで他の怪獣や円谷英二氏、出演者らを交えた撮影会が行われた際のものしかない。13話と16話では、モノクロ画像で見てもリペイントされているのが明らかだ。それ以降のカラー写真は、ウルトラマン8話出演時に嵩上げされ赤い部分が増えたピグモン状態のものとなる。そしてそれ以降は、遊園地や百貨店などの怪獣ショーに引き釣り出され、その状態が大きく劣化していく。ウルトラマン37話で再登場したピグモンは、それまでに子どもたちにトゲを全てむしり取られていて、コレジャナイ感溢れる再生ぷりっだった。
ガラモンの色に話を戻すと、ウルトラQ13話の際には淡いピンク〜オレンジを基本としていて、顔面と腹部はより淡いピンク、手足は骨を模した灰白色で節部が黒、鼻面のみ黒っぽかったとされている。16話では、全体的に赤が強まり、個体番号がつけられた腹部はピンクから灰白色になっている。
この2話で大きく印象がわかるだろう部分は、全身のトーンの変化はもちろん、モノクロ写真でもその差が明らかな鼻から口の周りにかけての部分だ。13話でも鼻は黒いものの鼻下はそうでもないのだが、16話になると鼻から唇の周りにかけて黒く落とされていて、両者で大きく印象が変わる。
今回、当初はガラダマ版でと考えていたが、元になるカラーソースがないこと、識別マークをつけたかったことなどもあり、迷った末に逆襲版に倣ったそれに仕上げることにした。
その迷いがどうだったかは、ここまでの製作経過を見れば明らかだろう。

いじり続けててもしかたがないので、逆襲版寄りのカラーリングでfixとした。
トゲ部分に黒を乗せたので、当初イメージしていたオレンジガラモンからは遠くなったけど、識別マークもつけたし、ここが落としどころかなあと。

首の下に接合部が残っているが、実際の着ぐるみも頭部が脱げるようになってたし、ソフビはソフビらしさを残すべきと考えているので、パテで接合して馴染ませる等の処置は行っていない。

塗装については以下の手順でおこなった。
  1. ピンクサフによる下地
  2. 赤い部分と白い部分にそれぞれラッカー系の缶スプレーをかける
  3. 目指す色になるように水性アクリルを筆塗り。
  4. 水性アクリルの上からラッカー系のつや消しクリアコートを塗布
  5. ラッカー系のコートによって下地塗料を犯さないので、その上から水性アクリルを筆塗り
  6. 水性アクリル同士を使って、まるで絵画のように各色を馴染ませながら筆塗り
  7. 仕上げにラッカー系のつや消しクリアコートを塗布
  8. 3〜7を繰り返す
  9. 必要に応じて、2のラッカー系缶スプレーを再塗布した。これは、塗膜の強化や、塗り替えする際に元の色を隠ぺいするためや、簡素なぼかしを入れたい時に行った。
顔の色は、結局白を混ぜた赤を塗ってやった。鼻先や口の周りの黒とどう繋げるかが課題だったが、なんとかなったんじゃないだろうか。
目もリペイントして、瞳孔の赤が目立つようにした。目にはクリアを塗布して艶があるように仕上げた。

このおびただしい数のトゲだが、キットで別パーツになっていたのは1列置きぐらいで、半分以上がすでに体幹に生えていた。
ソフビというのは、メッキでつくった雌型にポリ塩化ビニルを流し込み加熱して型に近い部分を硬化させ、未硬化の余分な材料を流し捨て、予熱でまだ軟らかいうちにヤットコでつかんでエイヤッ!と引き抜いてつくられる。こう文字で書いても伝わる気がまったくしないが…例えるなら、金属製の手袋があったとして、それから手を引き抜くのは容易ではないだろうってこと…とにかく、複雑な形状のものを成形するのは厄介なのだ。それをこのビリケン商会のガラモンは、細かなトゲのひとつひとつまで間違うことなく成形している。
ソフビは、ブリキのおもちゃと並ぶ戦後の対米輸出品のひとつで、白化しやすいセルロイドにそれに代わって女児用の人形などの素材として用いられていた。そのソフビが一躍するのが、ウルトラQとそれに続くウルトラマンがもたらした怪獣ブームで、このガラモンはもちろん、パゴス、ペギラ、カネゴンといった人気怪獣のソフビが飛ぶように売れた。筆者もこのソフビ怪獣ブームの火中にいて、家にはそれがところ狭しと散乱していた。
ビリケン商会は、当初ハリー・ハウゼンものや金星ガニ、イーマ竜、地球が静止する日のゴートといった海外作品のマイナーアイテム…全世界的にはむしろメジャーだったが…を得意としていた。それがいつからか東宝や円谷といった作品の版権を得て、いまではそちらの方がメインになっている感もある。ゴジラやウルトラマン、バルタン星人といったビリケン商会のラインナップには、ソフビ怪獣ブームの時の少なくない数の子どもが感じただろうコレジャナイ感を払拭したソフビをつくりたいという意図が少なからずあったように感じている。

横顔のシルエットにも一切破綻がない。それに続くイボからトゲの造形とボリュームも、申し分なくガラモンを表現している。
塗る方も、それが破綻しないように注意深く行った。特に、顔面とトゲ部分、胸元へと続く流れがうまくいくようにとそればかりを考えて作業した。
塗装については、ビリケン商会のソフビ、特にハマハヤオ氏の作品を仕上げるに至って意識したのが、ドライブラシを出来るだけ使わないということだった。
ドライブラシとは、短く切った筆に水気を切った塗料をつけポンポンとスタンプするように塗る技法のことで、塗装面の凹凸の凸の方に明るい色を乗せることで立体感を際立たせることができる。
今回主に使ったのは、ウォッシングとブレンディングという手法。
ブレンディングと書いて字のごとしで、2色以上の色を塗装面に乗せその境界を混ぜて馴染ませることで、絵画などでも当たり前に行われている。2色を馴染ませるために、その塗り分けの境界線に2色を混合した中間色を塗ることもよくある。
ウォッシングは、一度塗った面に別の色を重ねて塗り、乾燥後に上の色を溶剤で溶かすなどしてグラデーションを生み出す手法。同じ性質の塗料を使わずに、下地にラッカー系塗料、上に水性アクリル系塗料というように塗り重ねれば、上のアクリルを部分的に拭きとっても、アクリルの溶剤ではラッカーは侵されることはない。
これらふたつの塗り方を使えば、エアブラシがなくてもぼかし表現が可能だし、エアブラシでは得られない深みのある表現も得られる…というのは、エアブラシが高嶺の花だった厨房時代に身につけた技だったり。
古代魚の板皮類を思わせる外骨格の手足。ウルトラマンの怪獣シーボーズでも知られるこの骨が剥き出しになった表現は、デザイナーの成田享氏の得意とするところだった。
手足の塗装に関しては、モノクロなので至ってお気楽。

2014年10月21日火曜日

ダメ猫製造機

冬になると、飼っている猫の姿を目にする機会がめっきり少なくなる。それは、彼らがコタツの中に身を隠すからだ。故に、我が家ではコタツのことを「ダメ猫製造機」と呼んでいる。
まだ出してこそいないが、居間のレイアウトはすでにそのモードのために変更されており、1日の平均気温が20℃を下回りでもすればその装置が実践配備されるのは間違いないだろう。
子供の頃に旧家然とした親戚や知人の家を訪ねると、炭を使ったコタツが現役で使われていることがまだまだあった。床に穴を穿ち、火鉢を置き、布団をかけ、練炭などを焚いて暖をとる、いわゆる掘りゴタツである。
そんな炭を使ったコタツでも、その家の飼い猫は寒さを嫌ってその中に入り込んでいた。炭を焚いて布団をかけ密閉した空間で一酸化炭素中毒寸前になって、その猫はそこから出てくる。文字通り、フラフラになってだ。ここまでくるとダメ猫製造機どころか「廃猫製造機」だなあと、その様を見て子どもながら感じたような気がする。
猫といういきものは、暖かい場所でまどろんで眠りにつくものだが、仮に炭ゴタツの中で本当に寝てしまえばそれは即ち死を意味していたんじゃないだろうか。そう考えると、猫はけっして温もりの誘惑に負け死を迎えることがなかったわけで、そうなればちっともダメじゃないじゃんと感心するしかないのだ。
一方、我々人類はどうだろう?と考える。これは例え話なのだが…自分がいる環境に子猫が現れたとしたらどうなるだろう。いや、犬派猫派とか猫嫌いとか猫アレルギーとかうっちゃっておいて、自分は猫派だし猫好きだし猫アレルギーはないから、その日々の成長や愛らしさにハートをマシンガンで射抜かれ通しになっちゃうんですよ。これは理屈じゃなくて、それが人間の子どもでも、犬だろうがなんだろうが絶対そうなんですよ。その一挙手一投足に、きゃわいい~♥となっちゃって、他のことなんて手につかなくなるんです。
そんなわけで、結論。猫こそが「ダメ人間製造機」なんです。

2014年10月12日日曜日

あみぐるみの話①

この1年ほどで懇意にさせていただくようになった方が自転車店を新規に営むと聞いて楽しみにしていたのだが、開店はまだなもののその名刺ができたからとそれを携えて今日になって仕事場を訪ねてくれた。店名を「キティサイクル」にすると聞いていたのに刷り上がった名刺には、例えば「清田輪業」を略したらそうなるだろう「きよりん」といった店名が刷られていた。
この方がなぜ当初はキティサイクルという一見珍妙な店名にするつもりだったかというと、ご当人がハローキティのファンだからという理由に他ならない。1975年に誕生したハローキティをその翌年までに知った彼はその愛らしさに魅了されグッズ収集に明け暮れ、学生だったその当時に友人がサンリオの入社試験を受けると聞き自分もそうするべきかと大いに悩んだという。結局彼は元から志望していた企業に、友人はサンリオにと、それぞれ入社することになるが、その後もお互いにハローキティについてアツく語り合う仲だったそうだ。
先日、twitter上でたまたまリアルなヤモリのあみぐるみを目にして、そのプロポーションの見事さはもちろん編みもので再現された爬虫類の皮膚感の妙なリアルさに圧倒された。
あみぐるみといえば、1995年頃にインターネットを通じて知り合った友人がそれを趣味にしていて、かぎ針で編むそれはその造形のバランスや色づかいの妙などの見事さもあってただの手芸ってレベルを超えたものだと見受けられた。その友人は、当時その世界で一世を風靡していたというある作家のワークショップに参加して、その作家のコピーから始めて自分の作品を生み出していた。まあそんなことを垣間見てたので、なんとなくその世界を知ってたんですよね。
その作品はなかなかハイセンスで愛らしいものだったけど、それを見た自分はなんだかザワザワとしたものを感じたんですよ。でも、そのザワザワがどうしてそうだったのかわからなかったんだな、当時は。
別の友人もあみぐるみの作家で、その作品がどんなものかを書けばこれをご覧の自転車海苔ならそれがどなたかわかるかもしれない方と今日会って話してるうちに、件のヤモリの話になった。さすがはあみぐるみのひと、あーあれはすごい!とすぐに話が噛み合って、それについて大いに盛り上がりましたとさ。
さて、その話がヤモリのあみぐるみの体表表現になると、もちろんその編み目によるウロコ感が爬虫類を見事に描き切っているとお互いに絶賛したわけだが、そこでその友人が気になることを言った。
「自分がつくっているまめのこも、その編み目を見るとどこか爬虫類的で、実はけっこうキモいんだよね」
その言葉を聞いて、あー!それがおれが予てからあみぐるみに感じてたわけわからんザワザワだったんだー!って、20年ほどかかってやっとわかったんです。
思えば…5年ほど前に自転車で行った鹿児島の阿久根のローソンで、その地の特産である海産物の余剰品である貝殻でつくった巨大キティを目にしたことがある。身の丈が平屋建てのローソン店舗の青い軒にゆうに届くサイズのそれは、造形こそオリジナルのキティちゃんを忠実になぞった素晴らしい出来だったが、残念なことにホタテなどの貝殻で構成された外皮がどうしたってウロコにしか見えず、要はかなりキモかったんです。
それはあみぐるみも同じで、どんなにかわいい容姿をしててもその質感がキモかったら全てが…いや、そう感じるのはそういうフィルターを通して見るからで、あみぐるみはかわいいものですよ、きっと。
あみぐるみの話は、次回に続きます。

2014年4月13日日曜日

春のビジュアル撮影とsacoche for(サコッシュ・フォー)開発秘話

先日、TOMOKABANsacoche for(サコッシュ・フォー)のビジュアル撮影を行いました。2日に亘って行ったと書けばあたかもまる二日かけてたのかと思えますが、実際はいずれも小一時間ほどの撮影時間でした。
FBページのトップ絵も、これまでモデルを務めてくれたまじかるともみんに代わって、今回はTOMOKABANのデザイン&ソーイングワーク担当者本人が登場です。5月にでもまじかるともみんを再起用して撮影する予定になってるので、このバージョンはひと月ほどの春季限定になってしまうかと思います。
自転車に乗らず俵山の風車を背に立つピクニック気分のまじかるともみんと、ロードバイクで春の白川河川敷を颯爽と走るTOMOKABANスタッフ…この両者の違いが、sacoche for(サコッシュ・フォー)の製品としてのありかたの変化の象徴になっていることに気づかれた方は恐らくいないことでしょう。

サコッシュとは、ツール・ド・フランスなどのサイクルロードレースでほんの一時も足を着くことことなく一日200kmにも及ぶ距離を走行する選手に補給食などを手渡すための布製の簡単な袋で、受け取った選手はこれを襷がけにして中のものを摂取し、それが終われば路肩に捨ててしまいます。いわば使い捨ての袋なのですが、これがどうして、我々のようなホビーサイクリストが使ってもなかなか便利なものなのです。ところが、いかんせんサコッシュは簡単な袋なので、なんとも心もとない…それをもっとしっかりとつくりこんだ製品も世の中にはありますが、それらはコンパクトなショルダーバッグないしはメッセンジャーバッグといった印象で、もっとサコッシュらしい身軽さを持ったものをと考えてつくったのがsacoche for(サコッシュ・フォー)なのです。

以下は、sacoche for(サコッシュ・フォー)の開発秘話というか、これまでどこにも書いてこなかったことなのですが…
sacoche for(サコッシュ・フォー)は、上の画像のようにストラップの端についたサスペンダークリップをサコッシュ本体の左下に取り付ければ、3本になったストラップが下の画像の様に胸元でクロスして腰の部分で身体に固定されます。
ストラップは左肩と左右の腰の3点で固定されてますから、左肩からズレ落ちないようにバックルでの長さ調整を行うことできれいに安定します。
仮に上の画像の向かって右下に伸びているクロスストラップにあたる部分が多少緩くても、サコッシュ本体は下の画像のようにお腹の方まで回り込むことがなくペダリングやサドルへの乗り降りの邪魔にはなりません。
こうやって襷がけに背負うタイプのショルダーバッグ、そうメッセンジャーバッグなどには、自転車での使用がしやすいようにクロスストラップと呼ばれるパーツが付いていることは多くの方がご存知だと思います。
TOMOKABANのsacoche for(サコッシュ・フォー)が画期的なのは、多くの場合別パーツになっているクロスストラップを1本のストラップとしてシンプルにまとめた点にあります。
実はこのストラップ、最初からこう使うために用意されたものではありませんでした。

多くのショルダーバッグ…斜めがけするバッグ…は、そのストラップの片側がバックル(長さ調整を行うためのパーツ)から折り返して、ふた重になっています。しかし、その仕様はシンプルが売りのsacoche forには不要だろうと考えたわたしたちは、バックルから先の部分をだらりと垂れさせることにしたのです。このやり方なら、ストラップの長短の調整幅が大きいこともあってそうしてのです。ところが、そうすると胸元から垂れ下がった部分が邪魔で、下手をすればフロントブレーキなどに絡まる恐れもあって、これはありがたいことではありませんでした。
そこで、その部分が垂れないようにどこかに固定してやろうと工夫したのが、下のサスペンダークリップでした。
このサスペンダークリップ、元来ズボン吊りなどに使われているパーツなのですが、お辞儀させるように中折れさせると開き真っ直ぐに戻すと閉じるという単純な機構が、余ったストラップの先をどこかに固定するという用途にまさにうってつけでした。

 sacoche for(サコッシュ・フォー)の開発は昨年2013年の夏頃から始められ、同年11月24日の自転車市庭Vol.1.5で製品として披露することになりました。
その時点では、ロードバイクなどの前傾姿勢で使う際にはストラップを出来るだけ短く調整してサコッシュ本体を背中側に回してペダリングの邪魔にならないようすればいいと考えていました。ところが、実際に使ってみると、どんなにストラップを短くしていても、背中に回していたサコッシュ本体がいつの間にかおなか側にズレてきて、微妙ではあれペダリングする膝に当たることがわかったのです。これでは本格的な走行を行う際には適してはおらず、結局、 sacoche for(サコッシュ・フォー)はサコッシュ風のショルダーバッグ、ポシェットの類と見なされ、本格的なロードバイク愛好者を満足させるに至りませんでした。

本年2月に福岡市中央区のPROMENADERさんを訪ねた際にも、オーナーの小原さんにその点を指摘されました。「自転車用を標榜するなら、クロスストラップを付属させ、背中からズレない工夫をするべきだ」と。
そもそもシンプルにをモットーに製品化したsacoche for(サコッシュ・フォー)ですから、それに別パーツでクロスストラップを付けることは大きく躊躇われました。ましてや、そのころ考えていたクロスストラップはTIMBUK2などで見られる両端にナスカンと呼ばれる連結のためのパーツと長さ調整を行うバックルが付いたもので、sacoche for(サコッシュ・フォー)に用いるにはシンプルさが欠けると感じていたのです。

ところが、そのクロスストラップの機構を、わたしたちがそうと気づかなかっただけで、sacoche for(サコッシュ・フォー)はすでに実装していたのです。

3月2日に行われた熊本県サイクリング協会主催の天草下島一周サイクルマラソンに、ボランティアスタッフのひとりとして参加したわたしは、Bコース96kmを伴走することになりました。伴走する際にsacoche for(サコッシュ・フォー)を背負っていたのですが、どんなにストラップを短くしてもやはり背中からズレてきて膝に当たってしまう…どうやったらズレずに固定できるのかと考えて、その時初めて上で紹介したサスペンダークリップを本体の左下隅に留める装着方法を試してみたのです。そうしたところ、実に快適、なんのストレスも感じないまま…その日の苓北の向かい風はとんでもないものでしたが…96kmの距離を難なく走り切ることができ、机上で考えるものと実際の前線のそれは大きく違うのだと身を持って知ることになりました。

「すべての自転車ユーザーに『大きなポケット』を」というわたしたちのスローガンをカタチにした、TOMOKABANのsacoche for(サコッシュ・フォー)。快適なサイクリングの一助になればと、サイクリストのひとりとして願うばかりです。

2014年3月24日月曜日

天草下島一周サイクルマラソンを走ったサコッシュ

昨夜…深夜0時からだったので今日ですが…3月2日に行われた天草下島一周サイクルマラソンを紹介したテレビ番組が放映され、わたしも視聴しました。
実はそのイベントに、当日の伴走スタッフとして参加していました。
その際に、TOMOKABANsacoche for(サコッシュ・フォー)のロードバイク乗車時の使用感を試して、とても良好な結果を得ることができました。
ただし、フツーに使うだけでは、以下のようになってしまいます。
膝が当たって、ペダリングの邪魔になるのです。
ちなみに、ストラップの長さは、TOMOKABANが標準として画像などでも紹介しているサスペンダーを本体の右上端で留めた時のものです。
バックルで調整してストラップを最も短くすると、この足をついた状態ではそうではないものの、実際にサドルに跨がって前傾姿勢をとると、やっぱり膝に当たってしまいます。
そうならないように本体を背中に回してやっても、いつの間にか元に戻ってしまってなんだかなあです。
そこで、天草ではどうしたかというと…
余ったストラップの先を右手で持ち、サスペンダーを中折れさせ開き、左手は背中に回した本体の左下を掴んで手前に引き寄せます。
サスペンダーを、本体の左下端に留めます。
マチがないし、中になにか入れててもここになら留められますなあ。
こうなります。
真後ろから。
横からだとこう。
ビクとも動かないし、乗り降りの際にサドルに引っかかるようなこともなく、天草Bコース95kmを難なく走り切ることができました。
正面から見ると、こう。
きれいにクロスして、クロスストラップの役目を果たしているのがわかります。
これはエエよォ
sacoche forのストラップは、本来こういった使い方を想定してはおらず、そもそもは下のようになった場合に垂れ下がった部分を留めておくものとして考えだされたものです。
とまあ、瓢箪から駒というか、棚から牡丹餅というか、開ける口というか…

以上、公式が他の方のルポをFBに書いたので、ほとぼりが冷めるまでとりあえずここに書いてみるテスト。

2014年3月22日土曜日

ファビコンを手直し

某所のファビコンをつくり直しました。
かなり会心のできですが、だれにも伝わらないでしょうね…