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2011年10月18日火曜日

200kmの記憶…大通峠~五木村~人吉市

10/10に、単独で五木村経由で人吉まで行って帰ってきた。それは、これまで経験したことがなかった200kmもの走行距離になった。
随分間が開いてしまったが、自分自身の備忘録として記しておこうと思う。
ちなみに、当日のわずかばかりの写真ルポはこちら

はじめに…
熊本市中心付近の我が家から人吉市まで往復するとちょうど200kmで、一度はその距離を走ってみたいと以前から考えていた。
実は、昨年4月にあるイベントで球磨川沿いを走った際に、そのスタート地点の八代市の河川敷まで自走して、人吉市の手前の渡で折り返し、八代まで戻ったってことはあった。その時は自走で戻るつもりだったのに、車載で戻る友人のクルマに結局便乗してしまい、140km程度の距離に終わってしまってた。
いつかは200km…その数字にはなんの意味も…普段走っている100km前後の距離の倍で、キリがいい数字だから程度の意味しかない。また、ロングライドするなら気候がいい今の時期は外せないだろうと目論んでいた。この時期の日の出から日没までの時間を考えると、200kmぐらいが適当かと、それもこの距離にした理由だった。
実は、ブルベで600kmもの距離を完走したロングライドの達人ともいえる友人を引き込もうと打診したが、この日はあいにく都合が悪いとのことで残念。
7:14…自宅を出発
行程の長さを見込んでなるべく早い時間に出発したかったのだが、前日特別早く就寝できなかったことから、起きるのは自然に任せようと敢えて目覚ましをかけずに寝たところ、目覚めたのは出かけるつもりだった時刻の6:00だった。
単独行だから誰と待ち合わせしているわけでもなく、マイペースで準備をしていたら、案の定出るのが更に遅くなった。いや遅れたのは、ボトルケージに挿した輪行袋を固定するのに具合がいい長さのベルクロベルトが見当たらなかったから…なぜ前日に確認していない?…結局、古いインナーチューブを切ったもので括りつけたが、モノがゴムだけに結わずに縒り合わせるだけで確実に固定できるので結び目ができなくて、見た目も意外とすっきりとした。うんそう、輪行袋を携行しましたよ。だってそうすれば、人吉まで辿り着けば輪行で帰ってくることもできるんだから、保険ですよ、担保ですよ…いや、これが正解だったどうかはあとで判る。
この日の気温は7:00の時点で15.9℃で、予想最高気温とは10℃もの差が見込まれていた。そのため、なにを着ていったものかけっこう迷ったのだが、結局、夏物のアンダースリーブにロングタイツ、半袖ジャージにアームカバーといった出で立ちで出かけた。出発前には少し肌寒く感じたため、薄手のウィンドブレーカーを着たものかどうか迷ったが、国道266号を南下するうちにちょうどいい感じになってきた。
7:28…ファミリーマート田井島店着
朝食をとっていなかったので、おにぎりなどで補給。ここで13分ほどを費やして、7:41にリスタート。
8:00に城南を過ぎ、8:08に県道313号へと左折。この道は初めて通ったが、まだ新しくて交通量も少なく、いい感じのアンジュレーションで走っていて実に気持ちよかった。実はこの道には県道以外からアクセスするつもりで、そのために新しいルートを開発するつもりだったのだが、寝坊したこともあってそれは果たせなかった。
まだ身体が目覚めていないのか、なんとなく膝から下が重い。まあ、先は長いからと30km/h巡航でのんびり進む。
8:20、県道313号から連続する県道312号に入るが、入ったところが工事中で車両通行止め。工事箇所の脇をなんとか通れてことなきを得る。
8:38に小川町に到着。生活道路然とした県道312号ではペースを落としたものの、ここまで幹線道路を繋いできたこともあってペースはさほど悪くはない。
ここで県道32号へ引き返すかたちで峠越えしようかと考えていたが、脹脛に嫌な感じがあったし、このあとの大通峠に脚を残しておきたかったこともあり、やはり工事で車両通行止め(自転車は可)だった狭路県道の155号を経由して、九州自動車道沿いの宮原・竜北地区農免道路から立神峡を廻るルートに変更。
9:10…東陽町着
朝食の時以外停まらずにきたので、東陽交流センターせせらぎで10分ほど休憩して、この日のメインイベントに備える。走ったことがある大通峠までと、人吉からの帰路はだいたい頭に入っているが、大通峠から五木村を経て人吉へはクルマですら通ったことがない未踏の道だ。不安だったが、なんとかなるだろう…その時はそう思っていた。
その大通峠に向かって出発するが、序盤の緩い勾配で既に思うように脚が回らない。この県道25号、以前登った際には少なくとも中盤までは軽くいけた気がしたのだが…15kmほどの距離の坂の中盤になると、徐々に勾配が増してくるのだが、辛さも増していくばかりだ。
S字になった辺りからはもう歩いた方が速いんじゃないかって蝸牛の歩み。何度もひと息つくために足をつきたいって誘惑に囚われながらも、そうはしないでなんとか登り切った。
10:55:大通峠着
登り切ったはいいが、16.4kmしかない距離を1:34もかかって、平均時速が10.47km/h、大腿に乳酸が溜まりかけてるわ、左膝に激痛が走るわといった体たらくだった。そもそも、この日は先が長いからハナからがんばるつもりは一切なかったのだが、思った以上にだめだった。
この峠からは、不知火海と八代平野、宇土半島、雁回山はいうに及ばす、遥かに熊本平野や金峰山、有明海、島原半島までも見渡せるのだが、この日は空気が澄んでおらず、眺望はいまひとつだった。
それもあったし、身体が冷えないうちに下ろうと考え、小用を済ませただけですぐに出発するが…これが参った。
県道25号は峠さえ超えれば、あとはずっと下りだからとタカをくくっていたし、疲弊した脚も下りで軽く回せば乳酸も抜け回復するだろうと呑気に考えていたが、とんでもなかった。下りながら回す脚がもう残っていなかったのだ。
そんな調子だから、下りの途中にほんのちょっとの短い登り部分が現れると辛いつらい…
11:41:五木村着
とんでもない時間を費やし、這々の体で五木村に辿り着いた。ここの道の駅ではドリンクを補給した5分ほどのストップのみ。秘境といわれているこの土地だが、山ばかりで特に素晴らしい眺望があるわけでもなく、また普段から同じような場所を自転車で訪れているからなのか、妙な既視感を得ただけだった。気持ちに余裕があれば、景色も違って見えたのかもしれないが。
このあとすぐの全長1,400mもの長さの藤木トンネルをスルーしたくて、ままよと谷底の酷道…旧国道に降りるが…「川辺川ダム工事作業専用道」「落石注意」「一般車両の通行は自己判断で」などと山のように立看が立ち並んだ旧道は、あ、シクロクロスでくればよかった…持ってないけどw…と思わされる悪路だった。いや、こういう道は嫌いじゃないんですよ、楽しいんですよ、シクロクロス欲しいんですよ。と思っていたら、2kmほど進んだところで本格的に通行禁止ぽくなっていて、もうここで上の県道に上がれとの表示。無視して進む手もあるが、本当に行き止まりだったらどうする?…国道に戻るために、25%超の坂を1km弱登らされることに…脚がなのに、これなんの罰ゲーム?登った場所は藤木トンネルを抜けてすぐのところで、おい、トンネルを潜ってたら1.5kmほどしかきてないのか…そのあと連続するトンネルは全て素直に潜ることにしましたとも。
五木村から相良村に入るが、この村が南北に長くて、どこまでいっても相良村、どこまでも延々相良村…人吉は遠かった。そんなわけで、緩いながらもずっと下り基調なのに、その恩恵を全く感じられず、大通峠からの45kmの距離を2時間もかけて人吉に辿り着いた。
13:21:人吉・しらいしうなぎ屋着
人吉を訪れるのは随分久しぶりだったが、のんびり見て廻るような気持ちの余裕は一切なく、この日唯一の楽しみだったうなぎ店へ直行。有名店は長蛇の列だったので隣の店に入ったが、充分に美味しかった。
焼きあがったうなぎを食べて1時間弱。さあ、輪行して帰ろう…車中でビールが待っている…いま思えば、16:48発のJR九州横断鉄道をゆっくりと待ってそれに乗れば18:30には一度も乗り換えることなく、ほろ酔い気分で家に帰りついていたのだ。そして…脚を休めていたことで少し楽になっていたことと、うなぎでおなかが膨れて余剰カロリーを消費をしたかったこと、なにより2時間も待つ間に走れば先に進むのだからと勘違いしたこと…はい、再びサドルに跨っておりました。
帰路…
14:00時点で球磨地方の気温は26℃超と、夏日になっており、アームカバーとロングタイツだと暑いあつい。そういえば標高779mの大通峠の下りですら暑くて、せっかく着込んだウインドブレーカーをすぐに脱いだんだった。
国道219号を、渡から球磨川センチュリーライドのルートでもある球磨川沿いの県道15号に入ると、山陰になって暑さが和らいでちょうどよくなった。それに、脚が少し戻ってきたこともあって、イベントのエイドでもある魚道観察施設の川のとっとっと館で5分ほど休んだ以外は八代まで一気に。いや実は、途中でイベントのメインストリームを外れて新しくできたらしい道に入り込んで、そのままバイパスに出てしまったり…この部分は意外と走りやすかったが…車両通行止めだら自転車は通れるよって秘境ルートに入ったりして、けっこう楽しめたw
17:30に八代まで至って、さあ新幹線に乗ろうかと思ったが、残りは40kmほど、この分だと19:00前後には帰りつくだろう、陽は落ちるだろうがその頃には普段見知った道まできているだろう、そうすればなんとかなるだろうと踏んで、国道3号線をそのまま北上した。集団ではめったに通らない幹線道路だが、単独であっても通りたくないことには変わりがない。しかし、この時ばかりは最短で帰りつきたい一心で、選択肢はなかった。
松橋バイパスに入る頃にはすっかり暗くなったが、月夜に助けられてなんとかウキウキロードに辿り着いた。ウキウキロードから雁回山の山裾への道に入ると、ここが街灯がなく山陰で月光も届かずで暗いったらありゃしない。距離感がわからなくなって、左折する地点を見落としてもう過ぎてしまったんじゃないかと不安になりながら進むような有様。初見の道を夜中に…しかも山道までも走るブルバーの皆さんはすごいよ、本当に。
そんなこんなで19:10頃に帰宅。ぴったり12時間の行程になった。そのうち走行時間は、休憩時間の1時間36分を引くと10時間19分…実走行時間もどこかに記録していたつもりだったが見当たらない…多分10時間弱ぐらいかな?
まとめ
200kmを走ったといっても、普段からそうしているひとたちにはなんてことない距離なのかもしれない。それでも、200kmって距離は、けっして短くはなかった。100km走ってもまだ半分…そうまだ倍の距離が残っているのだと嫌になり、残りが50kmほどになって初めて、ああ、100kmのサイクリングに出かけて帰る時の距離か…と、ようやく気が楽になるんだ。それでも、途中でもう帰りたい!と幾度思ったことか…帰ってるのにさあw
あと、もしもの時のためにと輪行袋を持って走ったのもよくなかった。輪行して帰れるんだって安心感が緊張感をスポイルして、行程の後半での集中力も途切れがちになった。なんといっても、大通峠でやられて脚がほぼなくなり、そのあとの楽なはずの下りで、考えていた倍ほどもの時間を費やしたことが本当に辛かった。半分の距離を走ってそんな状態じゃ、うなぎを食べたら、もう走る気なんてなくなろうってもんだ。それでも、なんとか帰ってきたのはどうしてなんだろうな?別に意地とかプライドとか、そんなのどうでもいいって思ってるのにね。200km走りましたってブログに書きたかったからかな?よくわかんないや。
200km走るってことをモチベーションにしてみたが、それになんの意味があったのかが判らない。大通峠や五木村や人吉で声をかけてくれた方々は「自転車できたんですか?」と異口同音に目を丸めてくれたが、そう言われることに喜びなんて持ちようもない。
走ったことの感想ばかり書き連ねてきたがが、200kmの距離、12時間もの時間、その間いったいなにを考えていたのだろう。その場面その場面で考えることはあっても、なにかを振り返ってみたり、これから先のことを想ってみたり、そんなことをしていたんだろうか?
ひとついえるのは、ひとりで走ってみて、ぜんぜん楽しくなかったってことだった。
ちなみに、メーター読みの距離は197.17kmで、スタート地にメーターのリセットを忘れてて少し走った分の2km弱を足しても、200kmにはわずかに届いていません。まあ、いいじゃないですか、200km走ったことにしておいても。

2 件のコメント:

  1. 都合が悪く参加できなかったとkです(笑)。
    いや~一人でよく頑張りましたね!

    私はあと何kmだから何時間かかるな~と、計算しながらだったり、次のコンビニで休憩しようなど他愛のないことを考えながら走っていますよ。
    足を回しさえすれば残りの距離は減っていきますからね!

    楽しくなかったですか??
    こんなところまで「自転車できたんですか?」と言われて大変喜ぶ、どMな友人のRさん達と一緒に喜ぶブルベ完走後の満足感は相当ありますよ。(笑)
    今回は一人だったからですよ!きっと。
    次回はご一緒しますね!

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  2. > とkさん
    いえ、いつもはとkさんと同じく、どう段取りをつけるかとか考えて楽しく走ってますよ。
    でも、今回の大通峠~人吉の下りは、本当に遠くてとおくて、全く楽しくありませんでした。
    脚が回せないから距離が減らないんですよ、思ってるのの半分も…
    あ、完走後のことを書き漏らしてましたね。
    ゴールしたあとは、辛かった途中のことはすっかり忘れてて…なんだ大して疲れてないな、200kmなんてこんなものか…とか思ってました。
    なんて喉元過ぎればなんだかwww
    さて、今度はどこへ行きましょうかね?
    饅頭さんが柳川にうなぎを食べに行きたいって言ってましたがwww

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