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2011年4月25日月曜日

地獄とか死ぬとか遊びでやってるのにそう言うのは大袈裟だろうと思っていた~ラピュタの道は地獄への関所

ツール・ド・国東を9日後に控えて、その直前の週末に走るにしても調整程度だろう、じゃあこの日に最後の仕上げだろう、と考えた昨日日曜、千鳥饅頭氏のリクエストはなんとラピュタだった。
ラピュタとは、我々自転車海苔よりもむしろ単車海苔に知られている阿蘇外輪山の山道で、天空の道とも呼ばれている…そうあの「天空の城ラピュタ」のラピュタの様に天に繋がるかのような驚くべき景観を持った場所だ。もちろんこれは一部の趣味人による通称で、近隣の方々には長寿が丘つつじ公園の坂として知られている。つまり、多くの観光ガイドに載ることがない、知るひとぞ知るな場所である。そのことは、ここを紹介した摂旧ブログが検索結果の50位以内に入ることからも伺えるってものだ。
この道、その勾配もなかなかのもので、それがピークまで5kmに亘って途切れることなく続き、脚を休める場所すらない。しかし、キツさ辛さを打ち消してくれる素晴らしい眺望が訪れた者を迎えてくれる、そんな場所なのだ…天候がよければ。
上は昨年訪れた際にピーク付近のビューポイントから撮影したもの。こんな景色が待っている…そう天気がよければ。
ところが、前日までの天気予報は「一時雨ところにより雷を伴う」という厳しいもの…いい方に外れることを望んで迎えた当日の朝、予報は「晴れのち曇」に変わっていた。
全行程が120kmにもなる予定だったので早めに出発…と、グローブをインナーしか着けていなかったことに気づいて引き返し待ち合わせに遅れ、待ち合わせのコンビニではのんびりと朝食タイム…その上、途中で寄ったコンビニでもトイレがなかなか空かずにけっこうなタイムロス。まあいい、先は長いしのんびり行こうと、県道145号を東へ。
白川を内牧橋で渡り、県道207号経由で瀬田から立野への坂を登って、阿蘇長陽大橋へ至る道に入って立野駅へ。
ここの名物であるニコニコ饅頭で補給。実は、ここで食べたこのニコニコ饅頭に、このあと随分助けられることになるのだが、この時はまだ知る由もない。
阿蘇長陽大橋経由で栃木温泉を廻って、国道325号まで上がる頃にはついに雨が…ううん、まだ雲は薄いし大丈夫…
それでもトイレ休憩に立ち寄ったセブンイレブン・阿蘇九州東海大前店に着いた頃にはけっこう本降りになってきて…ここのトイレの待ち時間がまた長かった…レーダーを見て確認したが、雨雲はすぐ過ぎそうだったので気にせずに先へ。
この日は栃木温泉からペンションのんびり村を経由するいつもの道を選ばずに、東海大学正門の手前を右折して県道149号に上がるルートを選択。この選択がまずかったのかどうか、千鳥饅頭氏が新しいタイヤでの初パンクを喫する。
ちゃちゃと換えてと思ったが、ビットリアのチューブのバルブと、手持ちのインフレーターなどの相性が悪く、結局自分のミシュランのチューブを使うことにしたが、先刻のビットリアで試した際に使い果たしてしまったのかCO2が上手く入れられず、結局air boneミニポンプでポンピングすることになった。
二度手間になった上に手作業になって大きくタイムロス…どんだけ今日はタイムロスするんだ…これはもうラピュタはだめなのかもわからんね。
もういいよ、ツイ友でもある内牧のはな阿蘇美でバイキングを食べて帰れば…と、気分は更にのんびりしたものになるわけで…

赤水から県道149号に入り、親切な鎌倉商店さんでトイレを借りて、長寿が丘つつじ公園の入り口に着いたのは、当初の予定から1時間以上遅れた時刻だった。途中、右手の阿蘇五岳は雲に隠れて見えず、阿蘇にきたんだかなんだかぜんぜん判らない。一方、左手の外輪山を見ると…雲がかかってない…そう、以前もそうだった…あの時もだめだと思ったけど、登ったらいい天気で、結果オーライだったじゃないか。千鳥饅頭氏の表情を伺うと、うん、行こう!の顔。
しかし、これがこの日の地獄への入り口だった。
あ、路面がきれいになってる!
あっ、やっぱり亀の甲羅だwww
阿蘇の低い森林限界を超えると、ほら眼前にラピュタの姿が。そう、あそこまで…ううん、もっと上まで登るんだよ。
登って行くと、さすがはラピュタ、けっこうな勾配にそれまでに冷えていた身体が次第に暖まってくる。
千鳥饅頭氏もウインドブレーカーを脱ごうと…いや、結局、ジッパーを下ろすだけに思いとどまった。と、ここ一箇所だけだった、ラピュタを登り終わるまでに氏が足を着いたのは。
登るに連れて、あちこちからガスが沸き立ってきて…レンズも曇って…レンズを拭こうにも、グローブもミニタオルもびしょ濡れじゃどうしようもないのだ。
おかげでカメラのレンズにはあり得ないエフェクトが施されて…
あっ、この辺りの路面も真新しい舗装が施されてる!
そのうちに雲の中に入ってしまい、もう眺望もへったくれもない状況に。

地獄の淵から登ってきて、ついにビューポイントに!
何にも見えねえ…Σ(゚д゚lll)ガーン
薄日んやり見える黒っぽい岩のようなものが、冒頭の写真の「鼻」の部分ですwww
さあ、このあとは、はな阿蘇美までずっと下り基調。ささっと下ってお昼だおひる!
しかし…ここから、真の地獄が始まった…
ミルクロードに出ると、路肩には水溜りの輪が数知れず、風雨はどんどん強まってくるし、そのうちに寒気の中に飛び込んで吐く息が一気に真っ白に、凍えた指先の感覚は消え、濡れた衣類は重く冷たく身体を締めつけ、己の車輪が跳ね上げる水でタイツまでびしょ濡れで、天候のせいで普段より少ないとはいえクルマたちは容赦なく飛沫を浴びせてくれるし、シューズの中は水浸しで、終いには視界がほとんど効かない霧の中へ…
「さ、寒い…寒くて死にそう!…うそつき!すぐ着くって言ったのは、どこのどいつだ!」
後ろを走る女が何か叫んでいるが、風が強すぎてよく聞き取れない…
この状態で大観峰を下れるのか?
死ぬんじゃないのか、俺たち?
…果たして…人間は思ったよりもずっとずっと強いです。
そして、こんなに困難な目に遇っても体力がもってくれたのは、キビダンゴならぬニコニコ饅頭のカロリーのお陰だったと、骨身に染みて判りました。あれを食べてなかったら、とてもじゃないけど体力がもってないよ、ふたりとも。
死ぬ思いだったけど、どうにか無事につづら折れを下って、はな阿蘇美に着いて屋内に入った。ところが、ふたりとも身体の震えが全く止まらない。なにしろ、温かいコーヒーをカップに注いだはいいけど、テーブルまで運んでくる間に、手が震えてその大半は溢れてしまっていたんだ…まるで志村けんのコントだが、これはリアルな話なんだ。人間って、こんなにも震えるものなんだな…そして、それが容易には治まらないものなのだな…って、初めて知った。
コーヒーを2杯づつ飲み、更に温かいお茶を飲み、まだ震えが残る手でバイキングの皿に山盛りに料理を取り、一皿目を食べ終えた頃だろうか、ようやく人間らしくなったのは。しかし、こんな酷い状態でも、メシさえ食えればなんとかなる!人間はやっぱり強いぜ!
ふたりともあり得ない食欲で2皿目を平らげ、デザートまで食べて、その後もコーヒーで暫く暖を取る。
しかし、はな阿蘇美のバイキングは、いつ食べても本当に美味しい。ありがちではない工夫された献立の数々に、この日は特に助けられた。指が震えてまたしても画像を残していないがwww
窓の外を見るとまだまだ雨模様。あとはもう帰るだけなのだが、もういいよね、濡れるのは…iPhoneでルート検索をすると、1時間後に内牧を出るJRがある。あと暫く暖を取って、途中でポリ袋を買ってそれに自転車を入れて輪行して帰ろうと千鳥饅頭氏に提案するとふたつ返事でそれに決定。ネイチャーランドの脇のファミマでポリ袋を探すが、阿蘇市指定の小さなゴミ袋しかなく、親切な店員氏から近くにダイレックス(ディスカウントストア)があると教えられ、そこで90リッターの透明ポリ袋とガムテを買い求め、いざJR内牧駅へ!
…って、おい空!ここでダメ押しの嵐のような風雨かよ…随分久しぶりに大量の雨水を飲んだんだぜwww
内牧駅で自転車の車輪を前後外して、フレームを前後からポリ袋2枚で挟むように覆い、ホイールは2本をひとつの袋に入れ、程なく到着した肥後大津行きの普通ディーゼル車に乗り込む。
豊肥本線に乗るのなんて何年ぶり、いや何十年ぶりだろう…当時はなんと蒸気機関車だった<阿蘇BOYじゃないよwww
肥後大津からは電化されており、ここで熊本行きの電車にトランジット。ここから先は乗降客が一気に増えるが、ホリデイだったこともあって、幸いにも2台の自転車は大きな邪魔にはならなかったようだ。
平成駅で電車を降り、今日はもう自転車には乗りたくないからとご主人に迎えにきてもらうことになった千鳥饅頭氏に別れを告げ、家に向かって自転車を漕ぎ出すと…皮肉なことに、頭上には青空が広がっていた。

4 件のコメント:

  1. 土曜の夕方GR展望台から下りてくるだけでも相当寒かったのに、
    濡れて大観峰下るとはまさに低体温症寸前のサバイバルでしたね、お疲れさまでした。

    これで饅頭氏も国東は勝ったも同然でしょう!!

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  2. > SMNさん
    実は、大観峰の下りまできたら気温がいくらか戻ってきて、意外とそうでもなかったんですよ。
    それでも、あのつづら折れが、長くて長くて…このまま永遠に終わらないのかと思いました。
    本当に辛かったのはミルクロードで、これまさか氷点下?って強烈な冷気に包まれた時には、遠くから誰かが呼ぶ声が聞こえた気がしましたwww
    あの過酷な状況を経験したから、怖いものはもう何もない!と饅頭さんも言っています。
    国東は、ショートカット上等!おせったい夜露死苦!饅頭参上!で臨むそうですwww

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  3. 大変な走行だったはずなのに、なぜか、読んでいるうちに声出して笑っていたのは私だけでしょうか。。。お疲れ様でした(^ ^)/

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  4. > イゾラさん
    実際は死ぬ思いでしたから、可笑しく感じたのだとしたら、書き方が上手いんですよ、きっとwww
    って、はな阿蘇美に着いたら、ガタガタ震えながらもふたりとも可笑しくて笑いが止まらなくなって基地外になったのかと思いましたけどwwwwww

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