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2012年2月13日月曜日

タケネコバネと大人の事情

タケネコバネというのは、ドラえもんのひみつ道具のひとつで、頭につけると逆立ちした状態でビョンビョン跳び跳ねることができて実に痛快なのだが、雨に当たると雨後のタケノコのごとくドンドン伸びてしまい…なんてものではまったくなく、こういうものだ。


タケノコバネは、スポーツ自転車のホイールを留めるスキュワー(クイックレリーズ)の一部分で、ツル巻きスプリングともいう。なるほど、確かにタケノコのようである。

スキュワー(クイックレリーズ)

実は、前々回の輪行の際に、このタケノコバネをなくしてしまったのだった。外す時に緩めたままで入れた輪行袋の中で、更にネジが緩んで取れてしまったのだ。ネジそのものは残っていたものの、タケノコバネはどこへ行ったものやらだった。

そのあと一度走りに行った際には、タケノコバネがいっこないままホイールをつけて出かけた。なんてことはない、タケノコバネが片方なくてもスキュワーはちゃんと締まってくれて、ホイールは問題なく保持されたのだ。
なくても用を足すなら不要だろうと思うのだが、実際のことろ、こいつを使わなくても走行する上での不具合はまったくないのだ。

使わなくてもいいものがなぜついているかというと、これはコンマ何秒を争うプロ競技の世界などで、ホイールの交換を素早く行うために必要なんだな。これがあることで、フォークエンドに対してセンターが容易に出て、装着が素早く行えるって、まったくもって現場の都合なんだ。このバネは、文字通りのバネとして構造を支えているわけではなくて、これをガイドにエンドに刺さってしまえばそれでよしとするってことなんだな。

というのはイワナガ自転車さんから教えていただいた話で、自分では左右を均等に締めつけられるからなのかなあとか思っていたわけだが。

一方、フロントフォークエンドについている小さな突起は、タケノコバネとはまったく逆にプロの世界ではまったく不要で、レースでのホイール交換の際には引っかかって邪魔だという理由で、削り取られる運命にあったりする。

フロントフォークエンドの突起

これは、フロントの締めつけが甘いなどの理由でホイールが外れそうになった時にそれを食い止めるためのもので、ユーザーによるホイールの組みつけが充分ではないなどの原因で脱落する事態に備えてメーカー側が保身のためにつけるようになったんだ。

タケノコバネもフロントフォークエンドの突起もなくてもいいものなのだが、それぞれに大人の事情があって必要なものだって話。

タケノコバネをなくしたとイワナガ自転車さんを訪ねたら、あーそうですかと新品のカンパニョーロのスキュワーの封を惜しげもなく解いて、そこからバネだけを無償で提供していただけた。こういうスモールパーツも単独で取り寄せることはできるけど、在庫してても小さ過ぎてなくしちゃうから別にいいんですよと笑っていたが、実に感謝である。

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