先週参加した天草サイクルマラソンがいろんな意味で未消化だったので、3月11日にもう一回走ってきた。
寝坊した者が1名いたが、時間には充分な余裕があったのでけっして慌てることなく、天草に向けて先週と同じようにクルマを走らせた。
この日は、「遅いあなたが主役です」の煽り文句で知られる第40回天草パールラインマラソン大会が開催されるとのことで、交通規制やトラフィックが懸念されたが、10:00から開催されるというそのイベントのメイン会場である大矢野島を8:00までに通過できて、なにごともなく天草市新和町の役場支所に到着することができた。朝のうちは思いの外気温が低く、何を着て走ったものか迷わされたが、この日の空は春霞、雪混じりだった2月19日、雨交じりだった3月4日と較べたらまるで天国のような気候だった。
準備をして、9:18にスタート。
この日は、3月4日の天草サイクルマラソンにはスタッフで参加して、出走することができなかった紅一転氏につき合う目的もあって…そう、その慰労も兼ねて…イベントのAコース135kmのルートをそのままトレースすることに決めていた。
先週のイベントで走ったばかりで、その道の表情も生々しく記憶しているし、その日と較べて天気もいいし、楽勝だよね!って思っていたんだ、この時点までは。
スタートしてすぐに西に向かうのだが、走り出すのと同時に、あろうことか強い向かい風が吹き出した。若干の登り基調だとはいえ、この風では20km/hを出すのがやっとで、この先どうなるのだろうと大きく懸念することになった。
最初の坂を登って、最初の分岐を右へ。
これを左に行くと、2月19日と同じDコースになってしまう。
低いと思っていた気温だったが、一旦走り出せばすぐに身体が暖まって、着込んだウェア類が少し余分だったのだと判る。しかしそれも、日が高いうちの話だったのだが。
新和町碇石の集落を新旧広狭入り混じった下り基調の県道326号で通っていくが、風の強さはすでにこんな具合。ここは北北西に進んでいるから、こののぼり旗を見て東寄りの風?ではなぜさっき西に進んでいて向かい風だったんだ?
狭隘になる手前で大宮地川の支川にかかる橋へと左折して、このルート中でも異彩を放つ渓谷沿いの山道へ。山中だからか、ここでは風の影響を大きく感じることはなく、前回つまらないトラブルで思うように走れなかった分を埋め合わせるように、紅一転氏を後方に置いて目一杯の速度で登った。
宮地岳郵便局とRIC宮地岳店がある交差点に出て、これを左折する。
宮地岳という地名に、その名の山があるのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
国道266号では嬉しいことに追い風基調で、紅一転氏を牽きながら南へと向かう。
坂で遅れた氏を下りの途中で待っていると、あれれ、停まらずにそのまま行ってしまった…
追い風の具合はのぼり旗が示す通りこんな感じ…これがずっと続けばよかったのだが…
少し出遅れてから追うが、一旦ついた差はなかなか詰まってくれない。この日は、小雨交じりだった先週と較べても交通量が少なく、それについてはまったくストレスを感じることはなかった。
結局、2月19日のDコースでコースミスをし行きはぐれた紅一転氏らと再会した河浦町新合でその本人が停まっていてくれて、やっと追いついたって次第。
あとで聞いたら、ここはなんとしても追いつかれたくないと、6kmもの距離を追い風を味方に必死で逃げたんだって。
第二エイドがある大江方面へと別れる白木河内のT字路は、牛深へと直進。
一町田川の河口に出ると、山間部から抜け出て遮るものがなくなったことで強烈な横風を右から受けるようになった。この横風が半端なくて、時折の突風に煽られて自転車ごと持って行かれそうになる。身の危険を感じ一時歩道に逃げたこともあって、ペースがガクンと落ちた。
河浦一本松で県道35号に右折すると西寄りに進路をとることになり、向かい風の影響をもろに受けることになった。どうがんばっても20km/h出すのがやっとで、シティサイクルの様な速度でのろのろと進む。
なんだこれは、リアブレーキの片当たりでペースが出なかった3月4日のイベント本番の時とまったく同じじゃないか。
羊角湾の奥湾のひとつに出ると…画像ではまったく伝わらないが…満潮も手伝ったのだろうが、まるでポロロッカの様に波が逆流してきていた。風はずっと強烈で、ここって苓北の西海岸じゃないの?もう西海岸行かなくていいよね?って本気で思っていた。
風に悩まされ身を削られながらも、当地のマンホールアートをカメラに収める余裕も見せる。
魚貫湾に出ると、天草灘に面していることもあって…これまた画像ではまったく伝わらないのだが…かなりの高波で、方々の岩場に高く波が砕けていた。
牛深トンネルを抜け、倉庫や加工場が立ち並ぶ須口浦に面した地区へ。40km地点の、天草サイクルマラソンの第一エイドになる牛深水産加工場にたどり着いたのは11:10。
ブレーキの片当たりでペースが出なかった3月4日のイベント本番が11:54の着だったから、スタートが10分ほどディレイしたことや途中のストップを加味すると似たようなタイムだったわけで、これでこの日どれだけの風の影響があったのかが判ろうってものだ。
結局、同じように苦しめられたわけだが、もう走るのを辞めたいとだけ考えていた前回とは打って変わって、この日は随分気楽で、いや、苦しさすら楽しんでやろうって余裕があったのだと思う。
それを示すように、撮影した写真の数も多い。
ここでエイドよろしく休憩して補給を行う。SNSにポストしたりしていたらあっという間に15分ほど経ったが、それもまたよし。
ちなみに、トイレの裏に身を隠しているのは、強風を避けてのことだ。
エイドを出たらすぐにハイヤ大橋方向へ左折。ここをまっすぐ行っても、海で行き止まりだ。
ハイヤ大橋の登りは追い風で快調だったが、一転して下りは向かい風の影響がありスムーズではなかった。なにしろ、内海に面しているはずの牛深の市街地でもこの向かい風なのだ。
国道266号の久玉トンネルへの登りでは、権現山が遮ってくれたのだろう、風の影響を感じることなく楽ができた。遅れた紅一転氏を途中で待って、無言で励ましながら一緒に登る。
久玉トンネルを抜け下りに入るが、ここでも向かい風でスピードが乗らなくてずっとクランクを回すことに。しかも、時折の強い横風に煽られてヒヤリとさせられること多数で、容易に速度を上げられずに慎重に下っていった。
下り切ってからの白木河内までの平坦では、北東に進むため西北の風の影響がやや相殺されて30km/h超の巡航速度で進む。紅一転氏がピッタリと後ろについてくれたので、きつかったが速度を維持して5km程の距離を走り切った。
ここでも氏は、死んでも千切られてたまるかと必死でついてきたらしい。3月4日には知らない人と先頭交代しながら走った道だが、この日はずっと先頭だったわけで、これがかなり脚にきた。
県道389号に折れると、西風の影響をもろに受けて速度が一気に落ちる。
前回同様にここまでに使い過ぎた脚はボロボロだし、まだ半分もきてないのにこの先どうなるものかと不安がよぎる。
紅一転氏も腰にきたとかで、ちょっと停まってストレッチなどしながら進む。
この日目指すのは、残念ながらこのちゃんぽん店ではない。
崎津天主堂が見えるポイントの信号ストップで、記念撮影。実はここ、例年ALL SPORTSのカメラマンが撮影のために待ち構えている場所なのだ。
こちらが3月4日のイベント当日の己が姿。
このあとは、いくつかあるトンネルを順に過ぎていく。
横浜トンネルを過ぎたらすぐに、第二エイドへ折れる道へ左折。
天草サイクルマラソンの第二エイドは、天草町交流センター・ブルーアイランド天草。天草中学校に統廃合された旧大江中学校を利用した施設だから、この体育館といい、学校の面影をそのまま残している。13:07に、どうにか第二エイドに到着した。
このエイドの撤収は13:30なので、今日がイベント当日ならば滞在時間をいくらも取れないってことになる。
当たり前だが、豚汁とおにぎりが用意されたエイドも、エントラントの姿も、この日はどこにもない。
3月4日のイベント本番には12:24の到着だったから、この日ここまでのロスタイムを考えると同じようなものか。ここでも、SNSへのポスト待ちで5分ほどストップする。
この日の昼食場所に決めていた、大江天主堂近くのメーンの盛へ。
2月19日に訪れた際には29日まで休みとの張り紙があり残念だったのだが、やっと立ち寄れた。
当然、ちゃんぽんを注文。
この他に、焼き飯一人前をふたりでシェアしたが、入り切らないだろうと思った量をペロリと平らげた。食後もゆっくりと脚を休めたため、ここには45分も滞在することになった。
ここでの休憩で両太腿に溜まったどうにか乳酸も抜けてくれて、なんとかして大江トンネル、下田南、鬼海ヶ浦と連続する3峠を越えてやろうって気になるのだから不思議なものだ。
店の方々の励ましの言葉と、いつも頂く柑橘類(今回はポンカンだった)も、それを後押ししてくれる。
昼食後は、膨れたおなかを抱えて登りへと向かう。
ここでも、向かい風はもちろん横風の影響が大きく、スムーズに走れる限りは歩道を選択することにした。それは下りでも同じで、横風が強くまっすぐ走れないことがあったため、歩道を選んで下るって場面もあった。
この高浜トンネルと続く大江トンネルには左側に車道とフェンスで隔たれた歩道があって、道幅も充分にあり、路面もきれいで随分助かった。
天草町に一旦下って、ふたつめの峠に向かう。
高浜港の手前での風の強さはご覧の通りだが、東寄りの風になっているのは周辺の地形の影響だろうか…なんだか、向く方向く方から風が吹いてきていた印象だった。
この3峠の登りでは、紅一転氏も大きく遅れることなく、終始ついてきてくれた。ところがだ、各峠の下りでは、吹き上げてくる風が恐ろしくきつくて、下りなのに登りとしか思えないって状態で、フラストレーションが溜まりまくり。特に、下田南への下りでは谷地形のため風が巻いていて、まるで地獄の淵へ降りるかのようだった。当然、ただの1枚も写真を残せていません。
鬼海ヶ浦トンネルを抜けて、鬼海ヶ浦のブルーガーデンでお決まりの写真撮影。
風は思ったほどではなかった…2月19日の方がよほど強かった…が、さすがに波は高い。
画像には残せていないが、なんとパイプラインまで見ることができた。これは動画で残すべきだったな。
このひと月ほど続く工事による交互片側通行の信号停止を待って、岩盤をくりぬいた形そのままの下田隧道を抜け、下田温泉に下って下津深江川に架かるお色直し中なのだろう下田橋を渡る。
下田温泉を過ぎてから火力発電所までの例年強風に悩まされる部分は、東寄りに進むためか、3月4日と同様に大した風が吹かず拍子抜け…いや、地獄で仏に会ったような気分だった。九州電力苓北発電所を見ながら北へ進む。
キツかったのは、苓北で富岡港方面に向かう国道389号に入った時で、ちょっとの距離なのに、西寄りに進むことになって恐ろしく難儀した。この日はAコースを正確にトレースすることが目的だったので通ったが、正直言ってパスして国道324号、296号の交差点に直進するべきだった。
このルートを走る際に毎回立ち寄るデイリーヤマザキ天草苓北店で、この日もトイレ休憩。
16:00を回り日が傾いてきて風も強く日向にいても寒いので、紅一転氏もここでウインドブレーカーを着込む。
国道324号に入ると待望の追い風!…だが、時すでに遅しだな。それでも、重い脚にムチを入れて、30〜40km/h巡航で進む。
第三エイドの、二江漁港に到着したのは16:23。
15:30がタイムリミットのエイドは当然ながら撤収されていた…もちろん一週間も前にw
本渡海水浴場への道に入り、このコース最後の坂らしい坂を越える。
本渡港から平成橋を渡って、本渡市街へ。
このあと市街地を少しだけ西南に進むのだが、そこでは向かい風になって、その影響はまだまだ残っているのだと判った。帰り着くまでが遠足です。
本渡市街から県道26号に入ると、ゴールまでは10kmを切る。
八代海に面した湾に出るが、ここは本当の内海、海面がまるで鏡のようだった。
菜の花に姿を変えた観客が、135kmの距離を走り切った勇者を温かく出迎えてくれる。
春らしい景色だが、すっかり日が傾いて、かなり寒い。
新和支所への交差点へ。
ここへきてデジカメの電池がダウン、ゴールを目前にして一旦停まっての交換を強いられた。この日の撮影枚数は400超だったし、思いの外時間もかかったために満充電していたのがここまでしかもたなかったのだ。
この道が、この日の彼女のシャンゼリゼ通り。
17:57、ついにゴール。
今日でなくても、ゴールはとっくに撤収されている時間だ。
天草下島全土を覆っていた強い西風に翻弄された、本当に長い135kmだった。
2010年のイベント初参加時には15:28のゴール、雨でDNSした2011年を挟んだ本年はつまらないトラブルもあって16:12のゴール。この日は目一杯がんばったのに、こんなに時間がかかってしまった。
聞けば、この日は九州全土がこの西風の影響を受けていたようで、別の場所を走った多くのローディがブログなどで…30km/hで走れる場所で15km/hしか出なかった…東に向かう登りが楽で、下り基調のはず西への道がキツかった…などと異口同音に漏らしているのを目にして、みんな同じ思いをしたんだなと感じた。
そんな日に、なにを好き好んで天草くんだりまで出かけたのか。
いや、たしかに苦しかったが、雪の中を100km走った2月19日のDコースの時と同じく、けっしてやめようとか、引き返そうとは微塵も思わなかった。どれだけ時間がかかってもいいじゃないか…どんなに苦しくても、自分たちが持てる力をすべて出して前に進みさえすれば、必ずゴールできるんだから…ずっとそう思っていた。
もちろん、思うように走れないのが己の体調や機材のせいではなく、自然がそうしているからだという気楽さもあっただろう。
すごい!!今年、天草を3回も走られたんですね~。
返信削除天草は冬より夏ですよ!!!
自転車乗るのには暑くていい季節じゃないですが、海の綺麗さが全然違うので、是非夏にもいらしてください(笑)
はい、ひと月ほどのうちに3回も走りましたw
削除雪、雨、風と、3回とも気候が違って、天草はひとつの顔だけじゃないのだと強く感じました。
夏の天草には、7月に一度だけ走りに行ったことがあります。
天草トライアスロンの応援で、本渡海水浴場までの走行だったので、紺碧の海が拡がるという夏の西海岸は未だ未踏なのですが…
やっぱり、夏がいいんですね…
これはぜひとも、夏に走らなきゃいかんですね…
その際は、ぜひとも見所を案内してくださいw