ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。だが変わらぬ日常に、僕は戦時下の実感が持てないまま。それでも「見えない戦争」は着実に進んでいた。残念なことに上記の原作本の煽り文ほどにはちっとも面白くない。原作は未読だが、読んでも大筋の部分では同様の感想を持つような気がする。その理由は、映画のだめなところが全て原作に沿った部分であるだろうからだ。
偵察業務に就かされた"僕"は、業務遂行のために、対森見町戦争推進室の"香西さん"と夫婦生活を始める。この映画、園子温の「紀子の食卓」などと同じくいかにも清水邦夫まがいの家族ごっこが話の軸になっている。そう、一見意表をつく隣町との戦争って背景はかなりどうでもよくて、それは家族ごっこを創出するためのお膳立てでしかないんだ。
仮に家族ごっこ…この作品の場合虚偽の夫婦…を描くとすれば、その背景が戦争状態である必要はなく、例えば企業戦略のためのそれであっても全く困らないだろう。実際、"香西さん"は勤務先の役所が作成した「分室業務分担表」に従い好きでもない男と床を同じにするのだから。多くの物語で戦争を背景にする場合の理由は、「死がすぐそばに横たわっている状況なら人間の本性が描ける」ことに他ならないと思う。そういう極限状態なら、ひとは生きるために普段やらないようなこともしてのけるだろうから。ところがこの映画では戦闘による死すら絵空事のようにしか描かれず、登場人物には生死をかけて行動しようって使命感が全くない。だから、なぜ"香西さん"がたかが職務のために男と寝るのか?と疑念を持たずにおれないのだ。いや、その時には既に惚れてたのだよ…ってのはそりゃずるかろう。
仮にこういった題材であっても、「時効警察」の三木聡や、この映画にも出演している岩松了らがメガホンをとればそれなりに面白くなったのかもしれないが…それはまた別の作品でよいわけだ。
思えば嘘夫婦を演じた江口洋介と原田知世がかなりいいんだよね。それはまるで、「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョンと長門有希の様に…といえば伝わるだろうか、伝わらないか。それだけに、かなり残念な映画なのだ。
"香西さん"にはかなり萌えるのだがwww |
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